Crazy for you ~ぽむもち、ラッキーライラックとの思い出、チューリップ桜花賞編~
キタサンブラックが引退を決めた有馬記念を勝ち、日本競馬も沸いた年末。
例に漏れず、日頃より「好きなタイプはキタサンブラック」と公言している私も、関西から一路中山競馬場へ飛び、その雄姿を見届けてきた。
もちろん一人で。
アラサー女、クリスマスイブに有馬記念を見に単身千葉県へ飛ぶ。
もちろん両親も心配通り越してドン引き。
ちなみにその日の夕飯は吉野家だった。少し寂しかったのでコンビニでケーキも買ってホテルで食べた。
そんなこんなで幸せな年末を迎え、今年も競馬頑張るゾ☆
なんてったって今年は私が推しているラッキーライラックちゃんが三冠馬になるかもしれない年だからな…フフフ…とニヤニヤしているとあることに気付いた。
あっ、牡馬戦線のこと忘れてた。
あまりにラッキーライラックの勝利が嬉しすぎて、3歳牡馬のことをすっかり忘れていたのだ。競馬ファンたるもの、3歳牡馬のチェックを忘れるとは。
慌ててその日のレースを確認した。
「シンザン記念」
これだァ!
よしまだ遅くない。牡馬だってしっかり見極めて、クラシックマスターになってみせよう!
といいつつも、3連複の軸はツヅミモン(牝馬)にした。
しかしレースが始まってちょっと、どころかかなりびっくりすることになる。
一頭なんかすごいのおる。
稍重の京都を後ろから猛烈に突き抜けてったのおる。
しかも、その馬が牝馬であるという。
色々と頭の中での整理が追い付かなくなった。
いやいやラックちゃんは2歳女王やぞ、たまたまこの馬が重馬場巧者なだけかもしれへんぞ。
そう、私はどんなことがあってもラックちゃんを応援するのみ!
そして、振り絞った言葉が
「ふ~ん、やるじゃん。」
どこのテニス漫画の主人公だよと自分でも突っ込みを入れたかった。
しかし、俺(の推し馬)は上にいくよ。
桜花賞で待ってろ!アーモンドアイとやらよ!!!
それがアーモンドアイとの私の衝撃の出会いだった。
きっと、ラッキーライラックという存在がなければ素直に好きになって、素直に応援する馬になっていたのには違いない。(いや、好きですよ。目おっきくて可愛いやん)
だけれども、ラッキーライラックという馬の存在が、私の心を搔き乱す。
それだけ。ただそれだけ。
日に日に空気に暖かさが含まれ、そろそろ春の訪れを感じる頃。
私は苦しんでいた。
何となく「スキルアップ目指して受けますぅ」と軽い気持ちで受験申し込みした資格の試験日。
何回か過去問やったのに、今年クソ難しくない?
今までと全く傾向が違うんですけど?
そんなことはどうでもいい。
今日、推しのラックちゃんがクラシックロードを歩もうとしている前哨戦・チューリップ賞(しかもダントツの1番人気)の日なのにどうして私は阪神競馬場にいない???
この一点だった。
推しといいつつ、まだ一度も生ラックちゃんを見ていないどころかテレビでそのレースさえリアタイしていない。
本当に推しと言っていいのかこれは、もう大きい顔して推しだなんて言えない…と葛藤しながら試験を受けていた。オタクが故の葛藤である。
とりあえず持ち前の「妙に試験問題解くスピードが速い(だが正確ではない)」を活かし、なるべく早く試験を終わらせて試験会場を疾風のように去り、会場エントランスで携帯の電源をオンにする。
残念ながら30分程前にチューリップ賞は終わってしまった時間だったが、JRAのサイトへアクセスし、レース映像を確認する。
あぁラックちゃん、あなたは桜の花を咲かせる前に立派なチューリップを咲かせてくれて…
本当に横綱競馬というにふさわしいレースだった。
女王の風格さえ感じさせてくれた。
もうシンザン記念で感じた不安はなくなった。
桜花賞は何が何でも会いに行く。
桜花賞まであと1か月、楽しみで仕方がなくなった。
ところで、私が当時在籍していた会社は、有志で集まって阪神や京都競馬場で「桜を見る会」よろしく「馬を見る会」というものが開催されていた。いや、していた。(私が)
はじめは5,6人でこじんまりと、競馬が好きな人も、よくわからないけどみんなでワイワイしたいという人もみんな集まって楽しくやっていた。
調子にのってしおりを作り、注目馬などを書いていたりしたらだんだんそれが評判となり、この年の桜花賞はなんと20人規模での開催となった。
もちろん余計に調子に乗って、その年のしおりは馬の紹介だけではなく桜花賞の成り立ちや、データ分析などA4用紙3枚の超大作になった。
オタク故にこういう事にめちゃくちゃ時間と手間は掛ける。
競馬詳しくないけどエンジョイしたい勢の後輩がそれを見て「えっいつもこんなん作ってるんですか」とドン引きされた。
しかしそれが好評で、諸事情で会社を退職した今でも、その中の競馬好きの方々とLINEグループで「ガチ競馬会」なるものを作り毎週土日にワイワイとやらせて頂いており、何とも有難く楽しい週末を過ごさせて頂いている。
それはそうと、今年の桜花賞は自分が応援している馬が出る。しかもアーモンドアイを抑えて1番人気。それに1枠1番。
これは気合いを入れねばならんと、前日にネイルアートを施した。
サンデーの勝負服柄のネイルアート。
30手前の女の精一杯のオシャレである。
つまり今年の桜花賞に掛ける私の気合いは並々ならぬものであった。
ようやくこの目でラックちゃんの勇姿が見られる。
三冠馬ロードへの第一歩。
全力で応援した。
阪神の芝生広場で、声が枯れそうになるぐらい、「ラックちゃァァァん!!!」と叫んだ。
アーモンドアイは…よし、まだ後方。
ラックちゃんは早くも先頭に立とうとしている。
「ラックちゃん突き抜けろ〜!!!」
叫んだその時だった。
後方にいた馬がものすごい脚で突き抜けてきた。
ゼッケン番号13番。
アーモンドアイ。
届くか。届かないで。
ラックちゃん、頑張って。
そんな思いを込めて、ただただ祈るように叫ぶだけだった。
後方からアーモンドアイが鮮やかに差し、そのままゴール板まで突き抜けた。
嫉妬すら追い付かない、そんないつかのCMのフレーズがぴったりだと思った勝利劇だった。
30回ぐらい見ても、「確定」と出た着順掲示板の数字は13,1の順番のままひっくり返らない。
その時、あぁラッキーライラックが負けたんだと思って涙が溢れた。
自分でもびっくりするぐらいとめどなく溢れてきた。
周りにいた人もだいぶギョッとしてたと思う。
今思い返したら自分でもギョッとする。
でも、その時「新馬戦で応援しつづけてたからこれからも応援したい馬」であったラッキーライラックが自分の中でまた別の存在になってしまったことに気付いた。
これは、私の、これからも長く続くであろう競馬人生の確実に大きな1ページを刻む馬なんだと思った。
別に馬主でもなく、関わってるわけでもないのに、私の中でこんなにも大きな存在になっていた。
先輩や同僚が駆け寄って、「泣かんだってええや~ん」と抱きしめてくれた。
続けて、
「でも、こんなにも涙が出るほど応援できる馬がおるって、そういう趣味があるって幸せやんなっ!」
と言ってくれた。
オタクには、その言葉がとても沁みた。
ありがとう先輩。
そうです、私はこんな感情を揺さぶられる馬に出会えたことに、何より幸せを感じています。
しかし先輩、そんなオタクに優しい言葉を掛けるのは勘違いしちゃうので辞めてください。(注:先輩も女です)
本当はこの記事でオークス、秋華賞まで行こうと思ってたんですけど、予想以上に長くなったので一旦切ります!
しかしこの記事書くためにもう一回シンザン記念と桜花賞の動画見返してたんやけど、びっくりした。引いた。なんやねんこの強すぎる馬は。
改めまして、アーモンドアイ八冠おめでとうございます。
つづく♡