Crazy for you ~ぽむもち、ラッキーライラックとの思い出、オークス秋華賞編~
春先に美しく咲いていた桜は早々と散ってしまった。
だが、その桜が散った先にあるのは季節の移り変わりを示してくれる、鮮やかな緑。
クラシックロードはこれで終わりなんかじゃない。
なんとか気持ちも切り替えることができた。
ラックちゃんのオークスに向けて、私もしっかり気持ちを整えないと。
そう思うことが、ラックちゃんへの一番の応援になると思ったのだ。
しっかしあのアーモンドアイの末脚強烈やったなぁ~
お父さん誰やろ、ディープかな、いやディープやろな(実はちゃんと知らなかった)
【ロードカナロア】
…?
ラックちゃんはオルフェーヴル産駒。オルフェーヴルとは、泣く子も黙る三冠馬。つまり2400mなら余裕でこなす。
あの伝説となった阪神大賞典(3000m)では、途中逸走してあわや競走中止かレベルだったが最後に挽回して2着にまでくい込む。
一方アーモンドアイの父ロードカナロアは、主戦場は1200m。
めちゃくちゃ強いスプリンターというイメージだった。あのスプリンター大国香港で、世界を相手にスプリント戦を2連覇してしまう偉大な父。
スプリンターの子と、クラシックディスタンスの子。
あれ、これラックちゃんのほうがオークス距離適性(2400m)あるんじゃないか…?
桜は散れども、新緑の間から光が差してきた気持ちになった。
これは勝てる。
ルメール曰く「(アーモンドアイは)triple crown狙える」言うてたけども。
ラックちゃんにだってクラシックの座を1席頂く余裕だってあるはずだ。
泣いている場合ではない。
ラックちゃんを信じよう。
2018年5月20日。
良く晴れた日差しが新緑に降り注ぐ、絶好のオークス日和となった。
ラッキーライラックは1枠2番、また絶好の枠をもらった。
前回の勝利劇から、人々の気持ちはアーモンドアイに向いている。
アーモンドアイ単勝オッズ1.7倍、ラッキーライラック単勝オッズ4.1倍。
その数字を見れば一目瞭然だった。
しかし、競馬には絶対などない。
1.7倍を、4.1倍が覆したっていいんじゃない。それが競馬の面白さというものなんだと。
私はそう確信して、京都競馬場に向かった。
今回は一人で。
前回は20数人の前でガチ泣きするという醜態を晒したが、今回は一人だからそんな醜態を晒すことはない。
なお一人で行くという選択肢しかなかったことは気付いてても口には出さないでほしい。
京都競馬場のフードコートでケンタッキーのチキンを購入し、チキン片手にスタンドで応援することにした。
さすがにビジョン観戦となる京都競馬場でも、GⅠのファンファーレが響くと盛り上がる。
だんだん食べているチキンの味がしなくなるほど緊張してきた。
あぁゲートが開くと始まるんだ…
手に持っているチキンが濡れ煎餅ならぬ濡れチキンになるんじゃないかと思うほどの手汗が襲う。私が走るわけでもないのに。
ガタンとゲートが開き、各馬一斉にスタートしたことを京都競馬場の大きなビジョンが映し出してくれる。
府中も当然沸いているだろうが、淀も今めちゃくちゃに沸いている。
12番のサヤカチャンがターフを一人逃げ、レースを引っ張る。
逃げる馬がいると、見ているほうもよりレースが面白くなる。きわめて個人的な意見だが。
ラックちゃんは好位中団。桜花賞のような好位置につけている。
しかし、前回のレースと違うのが、そばにぴったりアーモンドアイ。
オレンジの帽子が輝く、7枠13番。
桜花賞と全く一緒のゼッケン番号。
何か不気味なものを感じる。
なんとか「アーモンドアイにマークされるなんて、やっぱりラックちゃんは凄い馬ね」とポジティブに捉えるようにした。
やはり1600mの桜花賞とは違い、2400mは長い。
緊張で心臓が持たない。
緊張もピークに達したその時、先頭を走っていたサヤカチャンが捉えられ、各馬が直線を向いた。
ラックちゃんも馬群から抜け出す。
いい手ごたえ!
アーモンドアイもまだこない、いいぞ!いける!
「ラックちゃん!!!頑張れ!!!!!」
手にもっていたチキンを放り投げそうになるほど興奮して、我を忘れて叫んだ。
前を走っていた同枠1番リリーノーブルを捉えるか。
その瞬間だった。
また、ゼッケン番号13番が飛び込んできた。
桜花賞と同じ光景。
アーモンドアイ。
それに呼応するかのようにリリーノーブルも伸びる。
追走するラックちゃんは伸びないか……。
アーモンドアイが完全に抜け出し、ゴール板を突き抜けた。
その1馬身後、リリーノーブル。
そして、そのリリーノーブルの影をようやく踏んだと思われたぐらいでラッキーライラックがゴールした。
3着。
ラックちゃんが負けた。
アーモンドアイにも。
ジュベナイルフィリーズ、チューリップ賞、桜花賞とで勝負付けは済んだと思ったリリーノーブルにも。
泣くまいと思っていたのに、また涙が溢れる。
どうしよう。今は全くの一人なのに。
でもこの感情を抑えることができない。
私は迷わず母に電話した。
母は、ラックちゃんをずっと応援しつづけていたことを知っている。
きっと包み込んでくれるはず。
電話口で、私が泣いていることに気付いた母は爆笑した。
「ちょっと~~!!www残念やったね!ほんま、アーモンドアイ強いな!混むから気ぃ付けて帰りや!www」
なんという見事な草の生やしっぷり。
何故包み込んでくれないんだ、母なのに。
母というものは優しく包み込むものではないのか。
失意のまま帰宅すると、見慣れない大きな靴があった。
その瞬間、血の気が引いた。
妹の婚約者が来ていたのだった。
だから笑ったのか。
義理の姉が競馬で泣いているところがバレて、それで爆笑したのか。
ちなみに言うと、妹の婚約者のことは前々から聞いていたのでどのような人というのは知っていた。
が、実はこの時初対面。
初対面で、義理の姉は推し馬が負けたことで泣きはらし、帰ってきた。
恥ずかしくて「さっきケンタッキー食べてきたから晩御飯いいわ~」と逃げるように家を出て、いきつけの居酒屋へ走った。
常連のおじさま(いつも東幹久の本命馬を教えてくれる。ちなみに私の競馬の師匠)に「秋華賞があるから」と慰められた。
そうなんだ。クラシックはまだ終わっていない。
だが妹の婚約者よ。秋華賞の日には我が家に来るのはなるべく御遠慮願いたい。
そう思ってレモンサワーを飲み干した。
いつもより、少ししょっぱく感じた。
季節が完全に移り変わり、うだるような夏の暑さの中。
私は衝撃のニュースを目にした。
「ラッキーライラック 右後脚に腫れ ローズS回避で秋華賞直行へ」
えっ。
脚が腫れ??ローズS回避??
大丈夫なのか、ラックちゃん。
心配で仕方なかった。
ここはもう秋華賞あきらめて、次のエリ女照準に合わせてもいいんじゃないか?
でも陣営は秋華賞は出ると決めた。
エリ女は4歳になっても出られる、でも秋華賞は3歳のこの時だけ。
この陣営と、ラックちゃんの挑戦を私も応援するしかない。
ちなみに私は馬券を考えるときは結構データを気にするタイプなので、オークスから叩きなしで秋華賞直行した馬の成績があまりよくないということは知っていた。
でも、ラックちゃんだから。
大好きなあなたの為に、私はあなたの馬券は絶対に買う。
それが、少しでも大好きなあなたへの声援になるのであれば。
私は心に誓った。
殺人的な夏の暑さも少しはやわらぎ、時に涼しい風が吹く季節となった。
秋華賞にぴったりの天候だ。
しかし、その日の秋華賞は暑かったことを覚えている。
両親と3人で京都競馬場へ行ったのだが、父が暑さに根負けしてソフトクリームを買いに走り、戻ってきた頃にはでろでろに溶けていたことが今も脳裏に焼き付いている。(お父さんごめんな一緒に行けばよかったね)
母は複勝転がしをすると息巻き、岩田(父)ジョッキーの複勝を転がしていた。
よくルメール・デムーロ両ジョッキーの複勝転がしは聞くが、そこを岩田(父)で転がす母のセンスに脱帽した。
ちなみにそこそこ転がせていた。
なお電車が混むし、家帰ってもメイン間に合う時間だからという理由で、両親はメインの出走を待たずに帰った。
確かに電車は混んで結構グロッキーになるし、賢いやり方かもしれない。
だが、私はラックちゃんの最後のクラシックをこの目で見届けたい。
やはりGI、パドックも恐ろしい程に混雑している。
人を掻き分け何とか馬が見える場所へと辿り着いた。
目の前にラックちゃんの姿が見える。
ラックちゃんからは、「あの子を止められるのは私しかいない」という気合いが私に伝わってきた。
そう。アーモンドアイを止められるのはあなただけ。
私の愛するラッキーライラック。
しかし競馬ファンからの評価というものは正直だ。
アーモンドアイの単勝オッズ1.3倍。
2番人気のラッキーライラックの単勝オッズは大きく離され7.3倍。
それは本馬場入場の時にも明らかだった。
枠順的にも先に紹介されたラッキーライラックの時、私は「ラックちゃぁぁん!!」と叫んだ。
……あれ?今日のお客さん大人しい?誰も叫んでないな??
しかしアーモンドアイが入ってきた時。
地割れのような歓声が京都競馬場に響いたのだった。
うおおお!!!
アーモンドアイ!!!
頑張れー!!
三冠応援してるぞー!!!
その時、私は「ここでラックちゃんを応援してるのは私だけかもしれない」という不安を感じたのだった。
もちろんラックちゃんファンはたくさんいるはずだ、そんなことはないと思う。
しかしそう思わずには居られないほどの歓声の差。
これが、アーモンドアイへの世間の評価。
ただただ感服し、同時に嫉妬した。
あぁ私がアーモンドアイを応援していたらこの声援も心地いいものだったはずなのに。
でも、私はラックちゃんが好きなんだ。
好きな事に理由はないし、優劣もない。
ラックちゃんのクラシック挑戦、私はそれを応援し続けるだけなんだ。
ゲートが開き、各馬出走する。
13番、ミッキーチャームが先頭に立つ。
ラックちゃんは中団の馬群の中に。アーモンドアイはまた馬群後ろを追走。
いい位置につけている。ドキドキしながらラックちゃんをスタンドから目で追う。
京都2000メートル、長いようで短い。
だが、やっぱり短いようで長い。
ドキドキと音を立てる心臓が、周りの歓声さえも掻き消していくような感覚に陥る。
各馬、4コーナーを回った。
ミッキーチャームは依然先頭。その差は思いの外縮まらない。
ラックちゃんは少し外につけ、追い出しを始める。
よし、ここだ!行け!!
叫んだ瞬間、ここから届くのかと思うほど後ろにいたアーモンドアイが抜け出た。
正直言うと、その瞬間にアーモンドアイの三冠を私は確信してしまった。
ラックちゃんは、追い出しても追い出しても先頭の馬との差は縮まらない。
伸びない。
手ごたえがないのが、私にも手に取るように分かった。
歓声がとても遠くに聞こえる。
私もその場にいるのに。
アーモンドアイが三冠を達成し、周りが歓喜に沸いたとき、ラックちゃんはほかの馬と横一線でゴールした。
恐らく、掲示板にも載らない順位。
だが涙は出なかった。
それよりも、ラックちゃんが無事に走り抜けてくれた。
長かったこのクラシックロード。
3歳の選ばれし馬だけが通ることのできる道。
その通るだけで栄光とも言える道を、ラックちゃんは無事に走りきってくれたんだ。
ただ、それが嬉しくて、そしてホッとした。
一つも王冠は手に入れられなかった。
でもラックちゃんの競走馬としてのキャリアはここで終わりじゃない。
きっと、これを糧にこれからもっと活躍してくれるんだ。
そう思ってやまない。
だから、無事に帰ってきてくれてありがとう。
無事にクラシックロードを走り抜けてくれてありがとう。
私に、競馬の感動を教えてくれてありがとう。
そんな気持ちでいっぱいになった。
すこし空が夕暮れに染まってきた。
私は少し寂しいながらも、それ以上に大きなものを心に得ることができたように思い、とてもすがすがしい気持ちで競馬場を後にした。
※最終レースで負けた件は省略しています
Crazy for you ~ぽむもち、ラッキーライラックとの思い出、チューリップ桜花賞編~
キタサンブラックが引退を決めた有馬記念を勝ち、日本競馬も沸いた年末。
例に漏れず、日頃より「好きなタイプはキタサンブラック」と公言している私も、関西から一路中山競馬場へ飛び、その雄姿を見届けてきた。
もちろん一人で。
アラサー女、クリスマスイブに有馬記念を見に単身千葉県へ飛ぶ。
もちろん両親も心配通り越してドン引き。
ちなみにその日の夕飯は吉野家だった。少し寂しかったのでコンビニでケーキも買ってホテルで食べた。
そんなこんなで幸せな年末を迎え、今年も競馬頑張るゾ☆
なんてったって今年は私が推しているラッキーライラックちゃんが三冠馬になるかもしれない年だからな…フフフ…とニヤニヤしているとあることに気付いた。
あっ、牡馬戦線のこと忘れてた。
あまりにラッキーライラックの勝利が嬉しすぎて、3歳牡馬のことをすっかり忘れていたのだ。競馬ファンたるもの、3歳牡馬のチェックを忘れるとは。
慌ててその日のレースを確認した。
「シンザン記念」
これだァ!
よしまだ遅くない。牡馬だってしっかり見極めて、クラシックマスターになってみせよう!
といいつつも、3連複の軸はツヅミモン(牝馬)にした。
しかしレースが始まってちょっと、どころかかなりびっくりすることになる。
一頭なんかすごいのおる。
稍重の京都を後ろから猛烈に突き抜けてったのおる。
しかも、その馬が牝馬であるという。
色々と頭の中での整理が追い付かなくなった。
いやいやラックちゃんは2歳女王やぞ、たまたまこの馬が重馬場巧者なだけかもしれへんぞ。
そう、私はどんなことがあってもラックちゃんを応援するのみ!
そして、振り絞った言葉が
「ふ~ん、やるじゃん。」
どこのテニス漫画の主人公だよと自分でも突っ込みを入れたかった。
しかし、俺(の推し馬)は上にいくよ。
桜花賞で待ってろ!アーモンドアイとやらよ!!!
それがアーモンドアイとの私の衝撃の出会いだった。
きっと、ラッキーライラックという存在がなければ素直に好きになって、素直に応援する馬になっていたのには違いない。(いや、好きですよ。目おっきくて可愛いやん)
だけれども、ラッキーライラックという馬の存在が、私の心を搔き乱す。
それだけ。ただそれだけ。
日に日に空気に暖かさが含まれ、そろそろ春の訪れを感じる頃。
私は苦しんでいた。
何となく「スキルアップ目指して受けますぅ」と軽い気持ちで受験申し込みした資格の試験日。
何回か過去問やったのに、今年クソ難しくない?
今までと全く傾向が違うんですけど?
そんなことはどうでもいい。
今日、推しのラックちゃんがクラシックロードを歩もうとしている前哨戦・チューリップ賞(しかもダントツの1番人気)の日なのにどうして私は阪神競馬場にいない???
この一点だった。
推しといいつつ、まだ一度も生ラックちゃんを見ていないどころかテレビでそのレースさえリアタイしていない。
本当に推しと言っていいのかこれは、もう大きい顔して推しだなんて言えない…と葛藤しながら試験を受けていた。オタクが故の葛藤である。
とりあえず持ち前の「妙に試験問題解くスピードが速い(だが正確ではない)」を活かし、なるべく早く試験を終わらせて試験会場を疾風のように去り、会場エントランスで携帯の電源をオンにする。
残念ながら30分程前にチューリップ賞は終わってしまった時間だったが、JRAのサイトへアクセスし、レース映像を確認する。
あぁラックちゃん、あなたは桜の花を咲かせる前に立派なチューリップを咲かせてくれて…
本当に横綱競馬というにふさわしいレースだった。
女王の風格さえ感じさせてくれた。
もうシンザン記念で感じた不安はなくなった。
桜花賞は何が何でも会いに行く。
桜花賞まであと1か月、楽しみで仕方がなくなった。
ところで、私が当時在籍していた会社は、有志で集まって阪神や京都競馬場で「桜を見る会」よろしく「馬を見る会」というものが開催されていた。いや、していた。(私が)
はじめは5,6人でこじんまりと、競馬が好きな人も、よくわからないけどみんなでワイワイしたいという人もみんな集まって楽しくやっていた。
調子にのってしおりを作り、注目馬などを書いていたりしたらだんだんそれが評判となり、この年の桜花賞はなんと20人規模での開催となった。
もちろん余計に調子に乗って、その年のしおりは馬の紹介だけではなく桜花賞の成り立ちや、データ分析などA4用紙3枚の超大作になった。
オタク故にこういう事にめちゃくちゃ時間と手間は掛ける。
競馬詳しくないけどエンジョイしたい勢の後輩がそれを見て「えっいつもこんなん作ってるんですか」とドン引きされた。
しかしそれが好評で、諸事情で会社を退職した今でも、その中の競馬好きの方々とLINEグループで「ガチ競馬会」なるものを作り毎週土日にワイワイとやらせて頂いており、何とも有難く楽しい週末を過ごさせて頂いている。
それはそうと、今年の桜花賞は自分が応援している馬が出る。しかもアーモンドアイを抑えて1番人気。それに1枠1番。
これは気合いを入れねばならんと、前日にネイルアートを施した。
サンデーの勝負服柄のネイルアート。
30手前の女の精一杯のオシャレである。
つまり今年の桜花賞に掛ける私の気合いは並々ならぬものであった。
ようやくこの目でラックちゃんの勇姿が見られる。
三冠馬ロードへの第一歩。
全力で応援した。
阪神の芝生広場で、声が枯れそうになるぐらい、「ラックちゃァァァん!!!」と叫んだ。
アーモンドアイは…よし、まだ後方。
ラックちゃんは早くも先頭に立とうとしている。
「ラックちゃん突き抜けろ〜!!!」
叫んだその時だった。
後方にいた馬がものすごい脚で突き抜けてきた。
ゼッケン番号13番。
アーモンドアイ。
届くか。届かないで。
ラックちゃん、頑張って。
そんな思いを込めて、ただただ祈るように叫ぶだけだった。
後方からアーモンドアイが鮮やかに差し、そのままゴール板まで突き抜けた。
嫉妬すら追い付かない、そんないつかのCMのフレーズがぴったりだと思った勝利劇だった。
30回ぐらい見ても、「確定」と出た着順掲示板の数字は13,1の順番のままひっくり返らない。
その時、あぁラッキーライラックが負けたんだと思って涙が溢れた。
自分でもびっくりするぐらいとめどなく溢れてきた。
周りにいた人もだいぶギョッとしてたと思う。
今思い返したら自分でもギョッとする。
でも、その時「新馬戦で応援しつづけてたからこれからも応援したい馬」であったラッキーライラックが自分の中でまた別の存在になってしまったことに気付いた。
これは、私の、これからも長く続くであろう競馬人生の確実に大きな1ページを刻む馬なんだと思った。
別に馬主でもなく、関わってるわけでもないのに、私の中でこんなにも大きな存在になっていた。
先輩や同僚が駆け寄って、「泣かんだってええや~ん」と抱きしめてくれた。
続けて、
「でも、こんなにも涙が出るほど応援できる馬がおるって、そういう趣味があるって幸せやんなっ!」
と言ってくれた。
オタクには、その言葉がとても沁みた。
ありがとう先輩。
そうです、私はこんな感情を揺さぶられる馬に出会えたことに、何より幸せを感じています。
しかし先輩、そんなオタクに優しい言葉を掛けるのは勘違いしちゃうので辞めてください。(注:先輩も女です)
本当はこの記事でオークス、秋華賞まで行こうと思ってたんですけど、予想以上に長くなったので一旦切ります!
しかしこの記事書くためにもう一回シンザン記念と桜花賞の動画見返してたんやけど、びっくりした。引いた。なんやねんこの強すぎる馬は。
改めまして、アーモンドアイ八冠おめでとうございます。
つづく♡
君が好きだと叫びたい~ぽむもち、ラッキーライラックとの思い出2歳編~
どうして君を好きになってしまったんだろう―――
そんな歌を聞くとふと思い出す。
好きで好きで、追いかけた貴女。
ラッキーライラック。
なんだか少しおセンチな始まりですが、エリザベス女王杯2連覇という偉業を成し遂げたラッキーライラック(以降、ラックちゃんとも呼びます)についての私の気持ちをどんどこ書いていこうと思います。
初めて出会ったのは夏の新潟開催。
を、京都競馬場のパークWINSでかき氷片手に見る私。
競馬にハマりだし、とりあえず土日暇やしと京都競馬場に夏のあいだ、アラサー女子が彼氏も作らず土日に競馬場(しかも開催してない)に足繁く通い、親に心配され、そんな事は何処吹く風と大スポとかき氷(時にビールもしくはレモンサワー)片手に観戦するのが幸せだったあの頃。いや今も確実に幸せになれる夏のひとときだと思う。
次のレースは、と大スポで確認すると新潟の新馬戦。
おっ、当時新種牡馬のオルフェーヴル産駒おるやん。
ラッキーライラック…しかも(うちの好きな)(特に顔)松永幹夫厩舎。
応援するしかないなと締め切りギリギリで単勝100円を買い、そのままレースを忘れてビールを買いに売店へ。
そしたら聞こえてきた「ラッキーライラック、ゴールイン!」
おっ?ってことはさっき単勝買ったミッキー厩舎のオルフェ産駒勝ったやん!
ありがとう、ビール代の足しにもなったし、これから応援するね!と加入したばっかのnet競馬のお気に入り馬にひとまず登録。
本当に軽い気持ちだった。
ビール代出してくれた。
(主に顔が)好きな松永幹夫厩舎の子。
オルフェーヴル初年度産駒。
まさかこれが私の心を揺さぶって、時に笑い時に泣き、そんな思い出の1頭になる馬の出会いとはこの時ご機嫌で1人ビールを飲み干すアラサー女には分かってなかったのだった。
時は流れて10月末。
世の中は秋の天皇賞、キタサンブラックは宝塚記念で大敗したがここで持ち直すのだろうか。しかも明日は天気が荒れるみたいだし…そんな疑念渦巻く週末の土曜日。
好きなタイプはキタサンブラックですと公言していた自分も例外に漏れず、キタサン大丈夫かな、ううん大丈夫!だってキタサンだもんっ!と恋する乙女のような気持ちで週末を乗り切ろうとしていた。
ちなみにこの時は仕事の関係で、何故か昼からダラダラと酒を飲んでいた。
ダラけすぎて各々好きなことをしている。
じゃあ私も好きなことをしてやろうじゃないかとnet競馬を開いた。
あら今日、重賞あるじゃない!
アルテミスS…2歳牝馬の戦いね。どれどれ…と馬柱をみたら「7枠13番 ラッキーライラック」。
あっ、この子!あの時の!
せっかく新馬戦応援したんだ、ここも応援するのが筋じゃないか。
そんなこんなで満足していると、だらけた飲み会の話題が競馬へと移る。
「明日の秋天どうなん?」と話を振られると、好きなことには饒舌になるのはオタクの性。
とにかく語った。別に聞かれてもいないキタサンブラックの血統の話まで、まるで水を得た魚のように語った。
そして、「で、これが明日の出馬表なんですけど~」とnet競馬を開いたとき。
トップページに
「アルテミスS ラッキーライラック重賞初V」
と見えた。
えっ、ラッキーライラックまた勝ったの。
すごいよあの子すごい。
思わず「やった、勝った」と感嘆の声を上げた。
その瞬間「ここはねーやん(私のニックネーム)の奢りやって!」との感嘆の声も周りから上がった。
払い戻し金880円で何をどう奢れというのか。
なにはともあれ、新馬戦でいろんな理由が重なったからとは言え買った馬がここまでトントンとスター街道を邁進していっている。
もしかしたらラッキーライラックという馬は相当な馬なのではないか。
これも何かの縁だ。追いかけ続け、応援するしかない。
そう心に決めた土曜日の夕方だった。昼から飲み続け、胃はもたれていたが心はこんなにも晴れやかな気持ちだった。
月日は流れ、暮れの忙しい時期に入った。
仕事も忙しいが、もちろん競馬も忙しい。そろそろ控える2歳頂上戦に向けて、上司が私に声をかける。
「おすすめの2歳教えてほしい」と。
私は「注目されてるのはオルフェ産駒のロックディスタウンですけど、個人的に注目は同じオルフェ産駒でもラッキーライラックです!」と満を持して答えた。
そしてオタクよろしくラッキーライラックの布教活動に入ろうとしたその時だった。
「へぇ~お母さんの名前がストレイキャットやから、ロックディスタウンか!面白いな~覚えとこ!^^」
そうだった。上司は往年の洋楽オタクだったのだ。
そこからストレイキャッツの話を延々と述べられ、ラッキーライラックに対する布教を挟む余地がなかった。
私がオタクとして敗北した瞬間だった。
ちなみに余談だが、阪神、京都と関西の中央競馬のGI絶対行くマンの私がどうしても何か予定が入ってしまったりで行けなく、微妙に相性の悪いレースがある。
それが菊花賞、マイルチャンピオンシップ、そしてジュベナイルフィリーズ。
この年のジュベナイルフィリーズも、例に漏れず予定が入ってしまい現地開催が叶わなかった。
見に行きたかった舞台のチケットを、上司(往年の洋楽オタク上司とはまた別)が取ってくださった日がジュベナイルフィリーズとだだかぶりしたのだった。
あぁレディベス(※見に行く予定の舞台)めっちゃ楽しみやけど…JF…応援すると決めた馬がいるのに…。
そう、ラッキーライラックが出走予定なのだった。
相手はルメールの乗るあのロックディスタウン。牡馬に混ざって札幌2歳ステークスを下している。
強敵には変わりない。だけれども私はラックちゃんを応援すると心に決めている。
「ラッキーライラック!応援しといてな!!」
そう母に言い残し、私は舞台を見に外へ出た。
母もいきなり「ラッキーライラックを応援しろ」なんて言われて困惑したに違いないだろう。
しかし、約束を守る人なのだ。私の母は。
舞台も終わり、加藤和樹めっちゃかっこよかったやんと夢現もそこそこに、祈るような気持ちで携帯の電源を付けた。(観劇中は携帯の電源はオフにしようね♡)
画面が立ち上がり、net競馬のページを開くまでもなく飛び込んでくる母からのLINE。
「ラッキーライラック勝ったで!すごいやんおめでとう!」
体の力が一気に抜けていくのを感じた。
ああやっぱり応援していこうと思えて良かった。
ここまで私の気持ちを揺さぶってくれる馬に初めて出会えた。
競馬をやってて、こんなに楽しく幸せなことはない、と。
「あと、ラッキーライラックのジョッキー(石橋脩)イケメンやったわ^^」
さすが、約束を守る上にイケメンに対する嗅覚がすごい母だった。
ちなみに母もジョッキー時代の松永幹夫のファンだった。
理由はもちろん「イケメンやったから」。
ゆるぎなく私たちは親子なんだと感じさせられた。
兎にも角にも、2歳牝馬の頂点に上り詰めたラッキーライラック。
私の頭も有頂天になっていた。(馬主でもないのに)
このまま三冠馬なんてなっちゃったらどうしよう。
こんな幸せなことってある?キャー!
なんて呑気に考えていた。
年明けに途轍もない牝馬が始動しようとしていることは、この時何も知らなかった。
知らないままでよかったのだと…。
つれづれはじめました
なんかtwitterに書くのも長すぎて、でも気持ちを吐き出したいの!みたいな文章をここに書いていこうとおもって登録しました。
twitterには長すぎる文章なのでとても乱文だと思います。
もし検索とかして流れてきてしまっても「あっ、ふ~ん」とお察しの上、流していただければ幸いに思います。
基本的には、競馬のことが好きなので競馬関係の感想を書くことになるかなぁと思ってます。
予想は多分上げません。だって回収率がアレですから。笑われちゃう。
「また今週も負けですか?(笑)」なんて思われちゃう。恥ずかしい。
馬が好きなので、そんな馬に対する滾った気持ちを書いたりすることが多いと思います。
どうぞよしなに!
ぽむもち